薔薇
西條八十(1892-1970)
船のなかに
忘れた薔薇は
誰が拾った
船のなかに
残ったものは
盲人がひとり
鍛冶屋がひとり
鸚鵡が一羽
船のなかの
赤い薔薇を
拾ったのは
盲人がひとり
見ていたものは
青空ばかり
(发表于《赤い鳥》1918年9月号)
-------------------------------------------------------------------------
かなりや(金糸雀)
西條八十
唄を忘れた金糸雀は、後の山に棄てましょか
いえ、いえ、それはなりませぬ
唄を忘れた金糸雀は、背戸の小薮に埋けましょか
いえ、いえ、それはなりませぬ
唄をわすれた金糸雀は、柳の鞭でぶちましょか
いえ、いえ、それはかわいそう
唄を忘れた金糸雀は
象牙の船に、銀の櫂
月夜の海に浮べれば
忘れた唄を思い出す
(发表于《赤い鳥》1918年11月号)
----------------------------------------------
夢見花
葛原しげる(1886-1961)
赤い花
怒り花
赤いカンナが (カンナ/美人蕉)
風の日に 怒り花
白い花
涙花
白い木槿が
雨の日に 涙花
黄色のは
笑い花
黄色の向日葵
日ざかりに 笑い花
紫花は
夢見花
霧の降る夜の
山かげに 夢見花
(发表于《童话》1926年4月号)